駿河湾は、日本でも有数の深海魚の宝庫。その海から獲れる魚介の中でも、山竹商店が手がける「トロえび(ヒゲナガエビ)」をはじめとした深海魚たちは、まさに“海の底のごちそう”と呼ぶにふさわしい逸品です。
見た目や名前で「これって食べられるの?」と思ってしまう深海魚たち。
実は、駿河湾の深海魚には、私たちの想像をはるかに超える美味しさが詰まっています。
山竹商店の歩み——漁師の知恵と情熱が今につながる
山竹商店の原点は、山田さんの祖父の代にまで遡ります。
かつて駿河湾で多く水揚げされながら「美味しくない」と捨てられていたタカアシガニ。祖父は「たくさん水揚げがあるから名産にできないだろうか?」と旅館に相談したことがきっかけで、タカアシガニが戸田の名産として知られるようになりました。

山竹商店では、今からおよそ100年ほど前から底引き網漁も取り入れ、駿河湾の深海魚と向き合ってきました。
漁のスタイルは時代とともに少しずつ変化しながらも、この底引き網漁は今も変わらず続いています。
そして現在は、漁師直営ならではの強みを活かしながら、魚を直接届けられるEC販売にも取り組み、より多くの食卓へ戸田の味を届ける挑戦を続けています。
「これって食べられるの?」——実はすごい、駿河湾の深海魚たち
メヒカリ、ガシャエビ(コシオリエビ)、メギス、そして「トロえび(ヒゲナガエビ)」——
一見すると珍しく感じるこれらの魚たち。けれど実は、地元・戸田では昔から食卓に並ぶ定番の魚です。

とくに、トロえびは地元で親しまれている“戸田三兄弟”の筆頭格。
名前のとおり、とろけるような舌ざわりと濃厚な甘みが特徴で、お刺身で食べるのが一番のおすすめです。甘えびよりもねっとりとした深い味わいがあり、思わず何尾も食べたくなるほど。

「こんなに甘くて美味しいなんて、想像してなかった」と驚かれる方も多く、まさに“知られざる逸品”です。
鮮度の維持が命——深海魚ならではの繊細な扱い
深海魚はとても繊細で、表に出回りにくい理由のひとつが「鮮度管理の難しさ」にあります。
山竹商店では、漁を終えた直後から鮮度を守る工夫を徹底。
船の上では魚を素手で触らないようにして、体温による劣化を防ぎます。さらに、帰港後すぐに市場向けの魚は氷漬けに、販売用は選別して急速冷凍を行います。

また、魚体に付着した泥をあえて完全には洗い流さず、風味と自然な旨みを残す工夫も。
こうした丁寧なひと手間が、ご家庭で「深海魚って、こんなに美味しかったんだ」と感じてもらえる一口につながっているのです。
駿河湾の魚たちは、どれも美味しく食べられます
・トロえび(ヒゲナガエビ):お刺身や唐揚げに。濃厚な甘みととろける食感が最大の魅力。

山竹商店のトロえび – 産直アウル
・ガシャエビ(コシオリエビ):味噌が濃厚。塩ゆでや味噌汁で旨味が際立ちます。

山竹商店のコシオリエビ – 産直アウル
・メヒカリ:小さくても脂がのった身。唐揚げやフライでふっくらサクサクに。

山竹商店のメヒカリ – 産直アウル
・メギス(ニギス):クセがなく、天ぷらにしても絶品。子どもにも食べやすい魚です。

山竹商店のメギス – 産直アウル
どの魚も地元では家庭料理の定番として親しまれており、「深海魚はクセがある」「食べにくそう」という印象とは真逆。
むしろ、“もっと知られていい美味しさ”がそこにあるのです。
地元の海を、全国の食卓へ——EC販売で広がる味の輪
かつて300軒あった民宿・旅館などの宿泊施設が、今や20軒ほどに減ったという戸田の町。
山竹商店は、漁業の魅力を次世代へつなぐため、EC販売や深海魚のブランド化に取り組んでいます。

加工品よりも“そのままの魚”を選ぶお客様が多く、「新鮮で美味しい魚をありがとう」「戸田で食べた味を思い出しました」といった声が励みになっているそうです。
「深海魚って食べられるの?」という疑問が、「これはまた食べたい!」に変わる瞬間——
それが、山竹商店が届けたい体験です。
山竹商店が描く未来:深海魚をもっと身近な存在に
「トロえびを、静岡を代表するブランドにしたい」
「いつか駿河湾や深海魚を活用して、戸田・駿河湾の味を多くの人に届けたい」

そんな山竹商店の挑戦は、単なる魚の販売を超えて、地域文化の発信にもつながっています。通販で深海魚を味わい、いつか戸田の海を見に訪れてほしい——
その想いを胸に、今日も駿河湾の海と向き合いながら、心のこもった一尾を送り出しています。