熊本県球磨郡・錦町にある「桑原農園」。清流と山々に囲まれた土地で、自然薯やにんにくをはじめ、アピオスや菊芋など根菜に特化した農作物を育てています。 もともとSE（システムエンジニア）として働いていた桑原さんですが、父が栽培していた自然薯をきっかけに農業の道へ。マルシェでの販売体験から「農業と向き合う原点」を見つけました。
今回は、産直アウル編集部が桑原農園の桑原さんにインタビューしました。転身の背景、こだわりの農作物、そして未来への想いについて伺います。
桑原農園(自然薯のくわはら) – 産直アウル
SEから農業へ踏み出したきっかけ
もともとIT業界で働いていた桑原さん。転機となったのは、休日に出店したマルシェでした。
「父が自然薯を栽培していて、にんにくと一緒に太陽のマルシェで売る機会があったんです。実際に試食で食べてもらって『美味しい！』と反応をいただけたのがすごく嬉しくて。そこから“これはいいものなんだ”と自分でも実感しました。」
SEの仕事の合間に行うマルシェの販売や通販で、次第に農業に対する見方が変わったようです。
自然薯とにんにくを看板に、根菜に特化した農産物
現在、桑原農園の中心となるのは自然薯とにんにくです。
「自然薯は米と輪作していて、連作障害を避け、品質を保てるよう努力しています。田んぼで作った自然薯は粘りが強くて香りもいいんですよ。」
にんにくは土地や気候に合った早生の品種を2種類栽培。
「熊本県錦町の土地や気候に合ったにんにくを栽培しています。加熱すると甘味が増し、臭いが抑えられるので、にんにくが好きで臭いが気になる方にはオススメです。」
さらにアピオスや菊芋、そして米(ヒノヒカリ)も栽培。錦町の気候や自然を活かした作物を育てています。
地域資源を活かした農業資材の活用
桑原農園では、地域資源を活用した微生物資材「くまレッド」を活用
「うちは作物によっては農薬・化学肥料を使わず栽培しています。虫の大量発生などでやむを得ず農薬を使う作物もありますが、最小限に抑えています。以前からラクトバチルス菌や酵素を使っており、土の力を引き出し、なるべく農薬・化学肥料を使わず、自然に近い形で作れるように努力しています。近年では、地域で廃棄されていた球磨焼酎の酒粕を原料に培養された、光合成細菌含有の土壌改良剤「くまレッド」を積極的に使用しています。」
畑には四季折々の花が咲き、自然と共生する農業を実践。その姿勢が作物の安心感にもつながっています。
農園ファンとつながる原点
マルシェでの経験は、今も農業の大切な原点です。
「対面で販売する事で、直接お客様とコミュニケーションをとる事ができ、感想をいただける事が一番のやりがいです。『美味しかったからまた買いに来ました』と言ってもらえると、本当に農業をやっていてよかったと思えます。産直アウルは全国どこからでも購入できます。マルシェでつながったお客様が、農園ファンになり、産直アウルを通してリピートしてしていただける仕組みができました。お買い物だけでなく、トーク機能でファン交流ができるのも産直アウルの魅力です。」
ただ作物を作るのではなく、背景や歴史、作り手の想いも伝えていきたい。桑原さんはそう考えています。
食で人と地域がつながる未来
最後に、これからの農業について伺いました。
「農業は大変な部分もありますが、産直アウルを通して農作物を全国にお届けするのは、地元の良さを知ってもらえる手段だと思っています。錦町には果物や野菜、米、茶など本当に良いものがある。その良いものをお届けすることで、地域の魅力を知っていただき、ファンになっていただく。人と地域がつながり、希望ある未来につなげていきたいです。私が会長を務める錦町農産物等直売所出荷協議会は令和7年度豊かなむらづくり全国表彰事業において、農林水産大臣賞を受賞しました。地域づくりも大事なお仕事だと思っています。これからも地域づくりと同時進行で農業に励みたいと思います。」
SEから農家へと転身し、自然薯とにんにくを看板に根菜に特化した農産物を育てる桑原農園。その一つひとつには、消費者とのつながりと、地域を想う気持ちが込められています。
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