食べ応えがあり、食べた人を幸せな気持ちにしてくれる美味しさが詰まった果物。そんな魅力あふれる果物を届けているのが、熊本県芦北町の「たなか果樹園」さんです。今回は、そんな果物の美味しさの秘密や、生産者である田中さんのこだわり、さらにはこだわりの果物などについてお話を伺いました。
自然と「将来は農業をするのだろう」と考えていた
たなか果樹園・田中さんのご実家はもともとみかん農家であり、幼いころからみかん山で遊ぶことが多く、自然と農業に親しむ環境で育たれました。そのため、ご自身も将来的には農業に携わるのだろうと、自然に考えるような日々を過ごされていたそうです。
高校2年生のとき、お父様がマンゴーのハウスを建てられたことをきっかけに、マンゴーについてより深く学ぶため、宮崎県内の農業高校へと進学されました。
その後、さらに知識と技術を深めるために、農業大学校へ進学され、卒業後は2年間にわたり実習教諭として勤務されました。
教職を経て、22歳のときに農家として本格的に就業されました。
たなかさんの自慢の果物とは？
デコポン、はるか、パインみかん、マンゴーとさまざまな果物を作っています。特に珍しい果物として「パインみかん」を作っているのも田中さんです。みかんなのに、パイナップルのようなトロピカルな香りと風味が特徴的なみかん。
そのほか代表的な果物として、毎年6月ごろになると販売される色鮮やかなマンゴーがあります。たなか果樹園さんの収穫したてのマンゴーは、産直ならではの少しだけ酸味があるのが特徴です。一般流通のものと違うためぜひ、その産直感を味わってほしいと話されていました。
また、田中さんのマンゴーはストレスをかけない独自の方法で作っています。
一般的にマンゴーを作る際、水をあげずに糖度を上げてから収穫する流れが多いところ、田中さんの場合、水切りは逆にマンゴーにストレスを与えてしまうと考えています。そのため、マンゴー特有のえぐみや嫌な味を抑えるため、収穫期にも水を与え続けているそうです。そうすることで、えぐみがなくなり、マンゴー嫌いな人でも食べられるのが特徴。
ほかには、ライチや夏場レモン、ライム、はるか、不知火も育てています。特に、毎年ライチは1日ですぐに完売してしまうほどの人気っぷり。一般的に冷凍品のライチは輸入されているものが多いところ、たなか果樹園さんのライチは国産でぷりっぷりの食感と程よい甘さが絶品で、一度食べたら忘れられない美味しさです。
子供が食べても安全なものを届けたい
たなかさんの果物は農薬をできるだけ抑えるように作っています。そう考えるようになったのは、たなかさんには3人のお子さんがいて、子供でも安全に食べてもらいたいという気持ちがあるからです。
また、美味しい果物を作るうえで、化成肥料を使用することもありますが、適切なタイミングと量を使うことが一番大事とのこと。ここで使ったら味が変わってしまうなど長年の経験を生かし調整しながら日々作っています。
果物の旬の時期は？
パインみかん
2月～3月上旬まで。少しあったかくなってきたころに甘酸っぱいものではるを感じてほしいのがコンセプトとして作られています。
マンゴー
5月中旬ごろからで、毎年気候によって前後する果物です。
昨年の秋は暖かい日が続いた影響で、花芽の形成がやや遅れましたが、その分時間をかけて育ったマンゴーは、今年も美味しさたっぷりに実っています。
レモン・ライム
8月ごろから出荷される予定です。丁寧に育てたグリーンレモンやライムは、爽やかな香りや酸味が夏にピッタリです。
農業はとても大変で、好きでなければ続けられない
マンゴーを作り始めるときに、マンゴーについて勉強をした宮崎県とご自身が実際にマンゴーを作る熊本県とでは気候が異なり、試行錯誤しながらスタートされた。現在の状態に至るまで、色々な経験や自然災害などにも遭われた田中さんは次のように話す。
「自分が作ったものを食べれる仕事って農業しかないと思う。作ったものを売って生活していることが良い時も悪い時も自然が相手なので、やりがいをそこに感じる。」
自分が食べて美味しいと思っているものを作っている。
田中さんは農業に対する想いをインタビューの中で次のように話されました。「利益追求をすれば質より量をたくさん作れば、お金になるがそれはしたくない。自分が食べておいしいと思うものを作っている。自分の商品を届けるお客様には、果物で笑顔になって、幸せな気持ちを少しでも感じてくれたらいいなと思い、心を込めて送っている。また、年に一回の自分へのご褒美として買ってくれたら何より。」
たなか果樹園さんの果物の旬が巡ってくるたびに、「今年も楽しみにしていた」と心待ちにするファンの方も多いのではないでしょうか。